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FeRAMをもっと知る
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2025.6.30

MRIにおける不揮発性メモリの役割と最新活用事例

MRI装置における不揮発性メモリの役割や必要とされる特性、NANDフラッシュやFRAM(FeRAM、強誘電体メモリ)などの技術の特徴、医療機器設計における実用事例と安全性の考慮点を詳しく解説しています。

MRI装置に求められるメモリ特性とは

MRI装置は高精細な医療画像をリアルタイムで処理・保存する必要があり、使用されるメモリにも極めて高い性能と信頼性が求められます。とくに不揮発性メモリは、診断画像や制御データの保持・復元を支える中核技術として重要な役割を果たします。医療現場では、突発的な電源断や外的要因によるデータ損失を防ぐ設計が必須であり、そのためにはエラーチェック機能や長期安定性に優れたメモリの選定が鍵となります。

医療画像処理とリアルタイムデータの要件

MRI装置は高精度な画像取得と高速な処理能力を必要とするため、使用するメモリにはリアルタイムアクセス性能と大容量の確保が不可欠です。画像は逐次処理されながら蓄積され、医師による迅速な診断に活用されます。処理の一貫性を維持するため、メモリは連続書き込みにも耐えうる性能を持つ必要があります。また、患者データのセキュリティと一貫性を確保するために、データ整合性を保つ設計が求められます。このような要件を満たすメモリ構成は、システムの品質や医療現場の信頼性に直結します。

不揮発性メモリが果たす機能と意義

不揮発性メモリは、電源を遮断しても情報を保持できる特性を活かし、MRI装置のデータ保存・バックアップ領域に利用されています。診断画像の一時保存、装置設定情報、ファームウェア構成の保持など、多岐にわたる用途で活用されています。特に装置の安全動作を担保するためには、再起動時の状態復元や障害時のログ保存など、不揮発性メモリの高速アクセスと高耐久性が重要です。これにより、医療の信頼性向上と運用効率の改善が実現されます。

信頼性・長寿命・セキュリティの観点からの選定基準

医療機器に搭載されるメモリは、高信頼性・長寿命・セキュリティ性の三拍子を備えていなければなりません。フラッシュメモリは書き換え回数に制限があるため、ウェアレベリングやエラーレート低減機構を備える必要があります。また、患者データを扱うため、暗号化やアクセス制御機能も重要視されます。さらに、製品の供給停止リスクを回避するためには、長期供給性のある製品ラインを選定することが推奨されます。これらの観点をバランスよく満たすメモリの選定は、設計段階からの計画的な検討が求められます。

MRI向け不揮発性メモリの代表的技術と特徴

MRI装置に搭載される不揮発性メモリには、NAND型フラッシュメモリをはじめとする既存技術と、MRAMやFRAMといった次世代型のメモリ技術があります。これらの技術は、用途や設計要件に応じて最適化され、リアルタイム性、耐環境性、省電力性、データ保持性能といった点で異なる特性を発揮します。特に医療分野では、磁場や放射線といった厳しい条件下での信頼性が問われるため、単なる記憶容量やスピードだけでなく、動作の確実性と安定性も重視されます。

NAND型フラッシュメモリの利用動向

NAND型フラッシュメモリは、大容量かつコスト効率に優れた不揮発性メモリとして、MRI装置でも広く採用されています。特に画像データの保存用途では、持続的な書き込み処理に対応できるよう設計された高耐久モデルが選ばれます。最近ではSLC(Single-Level Cell)やMLC(Multi-Level Cell)の使い分けにより、用途に応じた最適な性能が実現されています。ただし、フラッシュメモリには書き換え寿命の制限があるため、医療機器への搭載時にはウェアレベリング、ECC(Error Correction Code)などの機構とともに設計されることが一般的です。

MRAMやFRAMなど次世代メモリの可能性

次世代不揮発性メモリとして注目されるのが、MRAM(磁気抵抗メモリ)やFRAMです。これらはフラッシュメモリと異なり、書き換え耐性が高く、電力消費が少ない点が利点です。特にFRAMは、磁場耐性や放射線耐性にも優れており、MRI装置のような特殊環境下での利用に適した特性を持ちます。また、瞬時にデータを保存・復元できるため、再起動時のシステム回復時間短縮にも貢献します。まだ容量面では課題がありますが、小容量領域への高信頼性実装には有効な選択肢となり得ます。

耐磁性・耐放射線性を考慮した構成の工夫

MRI装置は強力な磁場を発生させるため、装置内部で使用されるメモリは磁気影響を受けにくい設計が必要です。一般的なフラッシュメモリやMRAMでも対策は取られていますが、より耐磁性に優れた構成としてFRAMが評価されています。また、医療施設によっては放射線の影響が考慮される場面もあり、耐放射線性に優れた性能やシールド対策も重要です。このように、選定だけでなく配置や筐体設計の工夫も、信頼性確保の鍵を握る要素となります。

医療現場における実用事例と設計要点

不揮発性メモリは、MRIをはじめとする多くの医療機器において、画像データの保存やシステム設定情報の保持に広く使用されています。近年の事例では、心電図や脳波データの記録装置においても、不揮発性メモリが重要な役割を果たしており、患者情報の信頼性確保やデータの再利用性向上に貢献しています。

医療デバイスにおけるデータ保存要件

医療デバイスにおいては、データの正確な保存と安全な取り扱いが最優先されます。特にMRI画像などの診断情報は、診療記録として長期間保存される必要があり、記録媒体には高耐久かつ高信頼性の不揮発性メモリが求められます。また、保存される情報の機密性を守るためには、暗号化機能やアクセス制御の実装も必須です。さらに、保存データが後の解析やAI活用に利用されるケースも増えており、データ構造の統一性や整合性の保持も重視されています。

揮発性メモリとのハイブリッド運用事例

MRI装置では、揮発性メモリ(RAM)と不揮発性メモリのハイブリッド構成が一般的に採用されています。リアルタイムな処理は高速なRAMで行い、処理結果や画像データは不揮発性メモリに逐次保存される設計が多く見られます。このアーキテクチャにより、性能と安全性の両立が図られています。最近では、一部の装置でキャッシュ用途にFRAMを採用する事例も報告されており、高速性とデータ保持性を兼ね備えた構成の実現が進められています。

長期供給性・規格準拠と安全性設計の重要性

医療機器の設計では、一般の産業用機器以上に長期供給性と規格遵守が重要です。不揮発性メモリも例外ではなく、10年以上の供給を保証する製品が求められることも珍しくありません。さらに、メモリに関してもEMC(電磁両立性)や安全基準への適合が必須です。また、万が一の故障に備えた冗長性設計や、データ復旧機能の実装なども重視されます。

まとめ

MRIにおける不揮発性メモリ活用の全体像

MRI装置では、不揮発性メモリが画像保存、ログ記録、設定保持など多用途で活用されており、データの信頼性と機器の操作性を両立させる基盤技術となっています。磁場や放射線といった特殊な使用環境でも安定して動作するメモリ構成が求められるため、設計段階からの慎重な製品選定が不可欠です。

次世代メモリ採用に向けた検討ポイント

今後、FRAMやMRAMなどの新技術の実用化が進むにつれ、従来のNAND型フラッシュに加えてより高信頼・高効率なメモリの選択肢が広がります。特にFRAMは、低消費電力、耐磁性、耐放射線性に優れており、MRI装置向けの用途として有望視されています。ただし、現時点ではメモリ容量に制約があるため、導入にはソフトウェア評価とシステム全体との整合性検討が必要です。

今後の技術進展と実装の展望

不揮発性メモリ技術は今後さらに進化し、より高速・高耐久・低電力な製品の登場が期待されます。医療機器分野では、AI解析やクラウド連携といった新しい技術要素との連携も視野に入れた設計が必要になります。FRAMやMRAMを含む多様なメモリ技術を柔軟に取り入れ、用途ごとに最適化された構成を実現することが、設計エンジニアにとっての重要な課題となるでしょう。

RAMXEEDが提供するFeRAM製品一覧
https://www.ramxeed.com/jp/products/feram-products

RAMXEEDが提供するReRAM製品一覧
https://www.ramxeed.com/jp/products/reram-products/

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