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FeRAMの電力メーターでの採用事例
高精度な測定と長寿命を両立:
スマートメーターに最適なメモリ
電力メーターへのFeRAM活用メリットを紹介しています。停電時も消費量を正確に記録し、不正イベントも確実に捉えることができます。フラッシュとの連携で長期データ保存と高速アクセスを両立可能です。
目次
電力メーターにおけるFeRAMの活用方法

電力メーターは電力消費量の測定や電力品質の監視を行い、 その情報をコンセントレータに送信します。これにより電力事業者は負荷管理によってエネルギーの利用を効率的に管理できます。FeRAMは、特に精度の高い電力消費量の測定が要求される3相メーターで使用され、停電や瞬停発生時でも電力消費量を正確に記録し、需要家への適切な課金を実現します。更にメーターカバーオープンや盗電が疑われるイレギュラーなイベント記録にもFeRAMが正確にデータを記録します。
ブロック図(3相メーター)

メモリごとの役割
一般的に3相メーターではFeRAMとフラッシュが併用されます。それぞれのメモリは以下のデータの記録に使用されます。
メモリ | データ |
FeRAM | 1. 停電発生に備えるための電力関連データ(電力需要、力率など) 2. フラッシュメモリのポインタ 3. 停電発生時刻、メーターカバー開閉、プログラムエラーなどのイベントデータ |
フラッシュ | 過去30日間または45日間の負荷曲線(規定による) |
ロギングの頻度と電力記録
ロギング頻度が低い場合

上の図の例では9回の区間に分けて電力消費を測定し、不揮発性メモリにロギングしています。
3回瞬停が発生していますが、ロギング頻度が低いため、電力が一旦ゼロに落ちている緑色の部分は電力の記録が正しく行われていません。
ロギング頻度が高い場合

こちらの図ではより高い頻度、例えば100msecに一度、不揮発性メモリにロギングしています。3回瞬停が発生していますが、ロギング頻度が高いため、電力の記録が正しく行われます。
1秒ごとのデータロギング時のメモリの寿命比較
1秒ごとにデータロギングを行う場合、NOR FLASHでは約1日、EEPROMでは約10日が寿命となるのに対し、FeRAMはその卓越した書き換え耐性により100年以上の長期利用が可能です。
FeRAM (MB85RS1MT) | EEPROM (M95M01) | NOR FLASH (W20Q10RL) |
100年以上 | 10日 | 1日 |
FeRAMとフラッシュの連携
FeRAMを利用した電力メーターの場合、電力消費データを高い信頼性で記録できます。毎秒のデータは高速書き込みが可能なFeRAMに直接保存され、それが統合されてフラッシュメモリに長期保存されます。フラッシュ内のデータ位置を示すポインタもFeRAMに保持するため、万一の停電時でもデータは失われず、必要なデータを迅速に参照できるという特長があります。

電力メーターでFeRAMを利用するメリット
- 停電や瞬停発生時でも電力消費量を正確に記録し、需要家への適切な課金を実現します。
- メーターカバーオープンや盗電が疑われるイレギュラーなイベント記録にもFeRAMが正確にデータを記録し、問題の要因特定に貢献します。
- フラッシュと併用することにより、フラッシュのポインタ(アドレス)データの保存にもFeRAMが役立ちます。
推奨製品
MB85RS1MT
インターフェース: SPI
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備考: 電力需要データ記録とイベント記録に
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パッケージ: SOP8
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電圧範囲: 1.8V to 3.6V
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備考: 電力需要データ記録に
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インターフェース: I2C
容量: 16 Kbit
電圧範囲: 2.7V to 3.6V
動作速度: 1MHz
動作温度: -40°C to 85°C
パッケージ: SOP8
備考: 電力需要データ記録に
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