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FeRAMをもっと知る
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2025.7.16

FA機器における温度調節器の進化と不揮発性メモリの重要性

FA機器における温度調節器の役割と不揮発性メモリの重要性について解説します。EEPROMとFRAM(FeRAM、強誘電体RAM)の特徴や適用事例を紹介し、信頼性向上のための設計ポイントを解説します。

FA機器と温度調節器の基礎知識

FA機器における温度制御の役割とは

FA(Factory Automation)機器における温度制御は、生産プロセスの安定化と品質確保に直結する重要な機能です。射出成形、はんだ付け、乾燥装置など、多くの製造工程では温度が製品の物性に直接影響を及ぼします。適切な温度管理により、歩留まりの向上やエネルギー効率の最適化が図れるため、温度調節器は制御システムの中核を担う存在です。

温度調節器の基本構造と種類

温度調節器は、温度センサからの入力をもとに制御信号を出力し、ヒーターやクーラーを制御する装置です。基本的には、温度検出部、演算部(PID制御など)、出力部で構成されます。種類としては、アナログ型、デジタル型、モジュール型などがあり、用途や装置の規模に応じて選定されます。最近では、通信機能やマルチ入力対応などの高機能化が進んでいます。

なぜ温度調節器が重要なのか

温度調節器は、製造現場のプロセス制御において、一定の温度を維持することで製品品質の安定化を実現します。例えば、樹脂成形では金型の温度が成形品の寸法精度や表面品質に影響を与えます。また、過加熱や過冷却を防ぐことによりエネルギー消費を抑え、安全性も確保されます。したがって、温度調節器の性能や信頼性は生産性と安全性の両立において極めて重要です。

不揮発性メモリの種類と特徴

EEPROM、フラッシュ、FRAMの比較

EEPROMとフラッシュメモリは長らく不揮発性メモリとして産業機器に採用されてきました。EEPROMはバイト単位での書き換えが可能で、データ保存に柔軟性がありますが、書込速度が遅く、寿命にも制限があります。一方、フラッシュメモリは高速な読み書きが可能でコスト効率に優れています。これらに対しFRAMは、低消費電力かつ高書換耐性を備えており、リアルタイム性が求められるFA機器に適しています。

FRAMの特性と産業用途における優位性

FRAMは、強誘電体の性質を利用してデータを保持するため、電源喪失時にも記憶内容が保持されます。その特長は、書込速度の速さ、極めて高い書換回数、低消費電力といった点にあります。これにより、頻繁な設定変更やログ記録が求められるFA機器において、長期的な信頼性とメンテナンス性を両立するソリューションとして注目されています。

不揮発性メモリの書き換え耐性と信頼性

FA機器では、設定値やアラーム履歴などの情報を頻繁に記録する必要があります。EEPROMやフラッシュは書換回数が10万~100万回程度に制限されており、使用条件によっては早期に寿命を迎えるリスクがあります。対してFRAMは10兆回以上の書き換えが可能とされ、長寿命を実現します。これにより、トラブル時の再起動後も設定保持が確実となり、機器の信頼性が格段に向上します。

温度調節器における不揮発性メモリの活用事例

設定値保存と復旧機能における利点

温度調節器に不揮発性メモリを組み込むことで、電源断や予期せぬリセット後にも直前の設定値を保持し、迅速な復旧が可能となります。これにより、再設定の手間を削減し、復旧時の誤設定による品質トラブルを防止できます。特に、製造ラインを停止できない連続運転工程では、こうした自動復旧機能が装置の信頼性と生産効率を高める重要な要素となっています。

不揮発性メモリの適用例

ある国内メーカーの温度調節器では、EEPROMにより設定値や履歴を保持し、停電後の自動復旧が可能です。最大100万回の書換耐性を持ち、一般的な用途では信頼性の高い設計といえます。ただし、書換頻度が高い用途やノイズの影響が強い環境では、EEPROMの限界が問題となることもあります。これに対し、FRAMは高速かつ高耐久で、電力消費も少ないため、リアルタイム性や長寿命が求められるFA機器で有効な選択肢となります。

実装における設計上の注意点

不揮発性メモリを温度調節器に実装する際には、書換頻度や寿命を考慮した設計が求められます。たとえば、EEPROMの場合、設定値の変更頻度が高い用途では書込処理を一定のインターバルで行うバッファ制御が推奨されますが、FRAMの場合はイベント発生ごとにリアルタイムに書込みを行っても書換耐性に影響がありません。また、EEPROMの場合、電源断時の書込みタイミングを制御するためのキャパシタ保持やフェイルセーフ機構の設計も必要になってきますが、FRAMの場合は高速書込の特長により電源断時の書込を保証するためのキャパシタは不要です。適切なメモリ種の選定と制御ロジックの設計が、製品の長期安定運用に直結します。

まとめ

FA機器の信頼性向上に寄与する要素

FA機器における温度調節器の性能は、製品品質と生産性に直結する要素であり、その信頼性は重要な設計ポイントです。不揮発性メモリの搭載によって、設定情報の維持や再起動後の即時復旧が可能となり、ダウンタイムを最小限に抑えることができます。これにより、安定した生産運用と保守作業の簡素化が実現し、結果として装置全体の信頼性が大幅に向上します。

不揮発性メモリ採用の検討ポイント

不揮発性メモリの採用にあたっては、使用環境に応じたメモリ種の選定、書換頻度、保持期間、電源遮断時のデータ保持の安全性など、多角的な検討が必要です。特に、長期運用を前提とするFA機器では、書換耐性に優れたFRAMの活用が今後ますます重要になります。製品ライフサイクル全体を見据えた設計判断が、システム全体の最適化につながります。

今後の技術動向と選定の指針

今後、FA機器ではIoT化や省エネルギー化の流れとともに、データロギングや高度な設定情報の保存がより重要になります。これに伴い、不揮発性メモリにも高速性・高耐久性・低消費電力といった性能が求められ、FRAMや次世代メモリ技術の採用が加速すると考えられます。今後の製品選定においては、単なるコスト比較ではなく、運用実態と将来性を踏まえた技術的評価が求められます。

RAMXEEDが提供するFeRAM製品一覧
https://www.ramxeed.com/jp/products/feram-products

RAMXEEDが提供するReRAM製品一覧
https://www.ramxeed.com/jp/products/reram-products/

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