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デジタルタコグラフでのFeRAMの採用事例
スーパーキャパシタ不要:
小型・高信頼の車載設計を実現
デジタルタコグラフでのFeRAMの活用事例について紹介致します。FeRAMは書換回数10兆回以上の高耐久性で細かな運転ログを確実に記録し、高速書き込みの特性により瞬時データ退避を実現します。スーパーキャパシタ不要で、予期せぬ電源瞬断からの安全な即時再開を可能にします。
目次
デジタルタコグラフでのFeRAMの役割

デジタルタコグラフは自動車運転時の速度・走行時間・走行距離などの情報を記録するデジタル式の運行記録計です。速度、時間、距離だけなく、エンジン回転数の変化や急加速・急減速、GPSによる位置などのデータも記録ができます。そのためデジタルタコグラフでは、細かなログ取得が必要となります。
最近では、EU規制(UN regulation 169)等からデジタコやエアバッグでのログ取得の必要性がさらに増してきている状況です。
FeRAMは10兆回以上の書換えが可能であり、きめ細かなデータ取得を可能にします。また予期せぬ電断や電圧低下が発生しても、FeRAMは電源低下直前のデータを保持することを可能にします。
具体的なFeRAMの活用方法

FeRAMの高速書き込み特性は、予期せぬ電源瞬断に対する強力なデータ保護を実現します。
供給電圧が低下し、システムが予期せぬ電断を検出すると、電圧が完全に失われるまでのわずかな時間を利用し、制御パラメータやI/Oステータスなどの最終データをFeRAMへ退避します。FeRAMは1Mbitのデータを20msecで保存(50MHz動作時)できるため、電圧喪失前に重要データの確実な書き込みを完了させます。
その結果、電源が復旧した際には、電断前の最後のデータを使用して、システムの運転を安全かつ迅速に再開できます。
各不揮発性メモリへの1Mbitの書き込み時間
1Mbitのデータにおいて、FeRAMがデータ書き込みに要する時間はわずか20msecで、NOR FLASHの場合は1,000msec、EEPROMの場合は2,800msec要します。この極めて高速な書き込み速度によって、FeRAMは予期せぬ電源瞬断時にも確かなデータの保護を実現しています。
| FeRAM (MS85RS1MTY) | EEPROM (M95M01) | NOR FLASH (W20Q10RL) | 
| 20msec | 2800msec | 1000msec (データ消去時間を除く) | 
FeRAMをデジタルタコグラフで活用する利点
デジタルタコグラフにおけるFeRAMの活用では、以下の利点が考えられます。
- 10兆回以上の書換え回数により、きめ細かなデータ取得を可能にします。
- 予期せぬ電源トラブルが発生してもトラブル発生以前の状態から継続的にリスタートを可能にします。
- EEPROMやFlashを使用する場合はデータ書き込みが長時間となるため、物理サイズの大きいスーパーキャパシタの併用が必要となりますが、FeRAMはスーパーキャパシタを必要とせず、デジタルタコグラフの物理サイズ削減に貢献可能です。
推奨製品
MB85RS4MTY
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動作電圧:1.8V to 3.6V
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動作温度:-40°C to 85°C
パッケージ:SOP8
備考:車載用 AEC-Q100準拠