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メモリ技術

ピンコンパチで置き換え可能?FeRAM導入で実現する既存製品の品質向上

ハードウェアの設計者にとって、FeRAM(FRAM、強誘電体メモリ)と出会ったときの素直な感想は、「理想のメモリ!」ではないでしょうか?

メモリには、容量とアクセススピードを求めます。そしてその名が示す通り、記憶しておくことが必要です。動作中はもちろん記憶してくれますが、電源を入れていなくても記憶してほしい情報はたくさんあります。

高速アクセスが必要な領域ではSRAMが使われます。しかし電源断で内容が消えるため、保持が必要な用途ではバックアップ電池を組み合わせます。

しかし、SRAMをFeRAMに置き換えると電源が入っていなくても記憶保持が可能なので、バックアップが不要になります。しかもFeRAMは、フラッシュメモリやEEPROMに比べて書き換え速度が速く、書き換え耐性も高いのが特長です。まさに理想的なメモリと呼んでいいでしょう。

すぐにでも導入したいのに、プリント基板を作り直すコストと工数がかかってしまうと考えがちです。実は、現在お使いのEEPROMやSRAMによっては、プリント基板を変更せずにFeRAMへ置き換えられる場合があります。その鍵が「ピンコンパチ」です。

ピンコンパチとは何か

ピンコンパチとは、異なるメモリ製品間でピン配置・パッケージ形状・信号の仕様が一致していることを指します。ピンコンパチであれば、プリント基板のフットプリントをそのまま流用し、部品を載せ替えるだけで置き換えが完了します。ハードウェアの設計変更はゼロです。

ただしピンコンパチと一口に言っても、8ピンのシリアル品と、40ピン以上のパラレル品では、置き換えの難しさがまったく違います。

8ピンのシリアル品は比較的シンプル

SPI接続やI2C接続の8ピンSOP品であれば、ピンコンパチの確認は比較的容易です。EEPROMとFeRAMは同じ8ピンSOPパッケージ(150milまたは208mil幅)を採用していることが多く、Microchip、STMicroelectronics、Infineonなど複数メーカーの製品と互換性があります。

注意点は電源電圧の一致と、ボディ幅(150milか208milか)の確認程度です。それさえ合えば、ほとんどの場合そのまま載せ替えができます。

8ピンSOPのピンの役割

以下がRAMXEEDの2Mbit SPI製品MB85RS2MTAを始めとする、多くのメモリのピン名称です。

ピン番号ピン名機能
1/CSチップセレクト
2SOシリアルデータ出力
3/WPライトプロテクト
4VSSグランド
5SIシリアルデータ入力
6SCLKシリアルクロック
7/HOLDホールド
8VDD電源電圧

ピン機能を確認し、電気的仕様に問題がなければ置き換えが可能です。パッケージ寸法も同じであれば、プリント基板のフットプリントもそのまま使用できます。FeRAMはEEPROMの上位互換スペックのため、現行のEEPROMの動作しているシステムで、メモリだけを貼り替えて動作確認をしてみましょう。

【図解1:8ピンSOPパッケージ(150mil)寸法】MB85RS2MTAデータシートより引用

パラレルバス品、ハードウェアエンジニアが気にすること

パラレルバス接続の多ピン品になると、話は変わります。ここからが、ハードウェア設計者として本当に確認すべきポイントです。

RAMXEEDのパラレルFeRAMには、TSOP-44ピンやBGA-48ピンなどのパッケージがあります。同じ8Mbitの製品でも、パッケージが異なればプリント基板のフットプリントはまったく別物です。

パッケージの選択

TSOP-44ピン品(MB85R8M2TAFNなど)は、パッケージ幅10.16mm×長さ18.41mmで、リード形状はガルウィング型です。

一方、BGA-48ピン品(MB85R8M2TABGLなど)は、パッケージ幅8.00mm×長さ6.00mmで、フットプリントが大幅に小さくなります。

既存プリント基板への載せ替えであればTSOPが現実的ですが、小型化が求められる場合はBGAの優位性が出ます。ただしBGAは目視での半田確認ができません。製造ラインにX線検査が必要になる場合がありますし、置き換え検証を行う試作時などでも苦戦を強いられます。

ハードウェア技術者にとっては、TSOPパッケージが扱いやすいかも知れません。

【図解2:TSOPとBGAのパッケージ比較】MB85R8M2TAデータシートより引用

  • 左:TSOP-44ピン リードピッチ0.8mm/幅10.16mm×長さ18.41mm/高さ1.2mm以下/ガルウィング
  • 右:BGA-48ピン ボールピッチ0.75mm/幅8.00mm×長さ6.00mm/高さ1.00mm以下/半田ボール

パッケージの厚さ

見落とされがちですが、取付け高さも重要です。TSOP品で1.2mm以下、BGA品で1.00mm以下です。

筐体内のクリアランスが厳しい設計では、この数字が効いてきます。また、製造時のマウンターにも、正確な高さを登録しておく必要があります。

既存のSRAMと寸法を必ず突き合わせてください。

ピン間ピッチとプリント基板側のフットプリント

TSOP品のリードピッチは0.8mmです。置き換え元のSRAMが同じ0.8mmピッチであればプリント基板はそのまま使える可能性が高いでしょう。リードにおけるガルウィング形状の基板に接する部分や、リードの厚みなどの確認も必要です。これらの確認によって、実装時の不具合を減らすことにつながります。

データシートの外形寸法図を、置き換え前と置き換え後で必ず突き合わせましょう。

ピン配置で注意すべき信号

パラレルFeRAMのピン配置は、標準的な非同期SRAMとほぼ共通です。アドレスバス(A0〜A18)、データバス(I/O0〜I/O15)、/CE、/OE、/WE、/LB、/UBと並んでいます。既存のSRAMと見比べると、ほとんどのピンは一致します。

ただし要注意なのが、/ZZ(スリープモード)ピンです。

このピンはFeRAM独自の機能で、Lowにするとデバイスがスリープ状態に入り静止電流がuAオーダーまで減ります。既存のSRAMにはこのピンが存在しないか、あるいは別の機能(たとえばSRAMのSnooze機能やCE2など)に割り当てられている場合があります。さらに、FeRAMの品番によっては、/ZZピンが存在しません。

置き換える際に確認すべきは、現在のプリント基板でこのピンがどう処理されているかです。未接続やプルアップであれば問題ありませんが、他の信号と接続されていた場合は動作に影響が出ます。ピン配置がほぼ一致でも、このピン一本で動かなくなることがあります。

将来FeRAMへの置き換えを想定してプリント基板を設計する場合は、ジャンパと抵抗のフットプリントをあらかじめ用意しておくとよいでしょう。/ZZピンのように、基板設計時に機能が不確定なピンは、準備だけでもしておくといざという時に慌てずに済みます。

S2が置き換え前の信号ラインで、プルダウン抵抗によって置き換え後にもノイズ源にならないよう処理しています。FeRAMに置き換えた際はジャンパをJ1側に切り替える設計です。プルアップ抵抗でVccに接続することで/ZZピンをHighに保ちます。S1はスリープモードの制御信号を想定していますが、機能を使わない時は、プルアップ抵抗R1のみを接続すればよいでしょう。なお、プルアップ抵抗やプルダウン抵抗は、信号状態を保持しつつ不要な電流消費を抑えるため、高抵抗値を使用するのが一般的です。

【図解3:メモリ置き換えに対応するための制御信号切り替え回路例 】

容量とパッケージ、どう選ぶか

RAMXEEDのパラレルFeRAMは256Kbitから8Mbitまでの豊富なラインナップがあります。置き換え元と同容量を選ぶのが基本ですが、一つ上の容量を選んでおくことで、将来の機能拡張にも対応できます。

パッケージについては、既存プリント基板への載せ替えならTSOPで現物確認が容易です。量産を見据えた供給安定性の確認を早めに行っておくことをお勧めします。

ハードウェアの置き換えだけで、製品品質は変わる

FeRAMへの置き換えは、単なる部品の変更にとどまりません。

書き換え耐性はEEPROMの100万回に対し、FeRAMは10~100兆回です。SRAMバックアップ用のリチウム電池が不要になり、製品寿命は延びます。

ピンコンパチによる置き換えは、パッケージ寸法・ピン間ピッチ・取付け高さ・/ZZピンの処理、この4点を押さえれば、開発工数を最小化しながら製品の信頼性を引き上げる現実的な手段です。既存製品のマイナーチェンジや部品変更のタイミングに、ぜひ検討してみてください。

RAMXEEDが提供するFeRAM製品一覧
https://www.ramxeed.com/jp/products/feram-products

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